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小型国語辞典ビッグ4

 国語辞典には、「大型」「中型」「小型」というカテゴリーがあります。

「大型」は、我が国では「日本国語大辞典(小学館)」が唯一無二の存在。全13巻で収録語数は約60万語、定価は21万円なり(もちろん私は持っていない)。とにかく日本語に関するありとあらゆる知識とウンチクが詰まりまくっているのですが、その存在を知る人は多くなく、大きめの図書館の奥の方を捜さないとお目にかかることはできません。

「中型」は、持ち運ぶにはやや厳しいサイズと重量で、枕にするには少し硬い、具体的には「広辞苑(岩波書店)」「大辞林(三省堂)」「大辞泉(小学館)←横書き!」の3冊を指します。収録語数はどれもおよそ25万語。古語や固有名詞、専門用語を扱っているのが売りです。

「小型」は、普通に誰もが「国語辞典」と聞いてイメージするあれらです。古語も百科項目も載ってはいませんが、実は「辞書好き」の界隈ではこのカテゴリーが一番熱い。多くの出版社が参入し、それぞれのブランドが個性を前面に出し、まさに百花繚乱の様相を呈しているといえます。

 小型辞書は通常7~9年ほどで新版に改訂されるのですが、同じ出版社でありながら極めて対照的な性格を持つ「新明解国語辞典 第八版=2020年11月19日」と「三省堂国語辞典 第八版=2022年1月10日」の両者が発行された時期には、テレビのニュースやバラエティ番組でさんざん取り上げられていたのをご記憶の方もいらっしゃるかもしれない。

 数あるそんな小型国語辞典の中でも、「辞書好き」を自認する人々の間で「ビッグ4」と称されるのが次の4冊。

 岩波国語辞典【第八版】岩波書店:由緒正しい保守正統派。日本語の歴史を踏まえた端正な語釈と、やや古風な表現に強いのが特徴。逆に新語には無関心。
 新明解国語辞典【第八版】三省堂:販売数日本一。言葉のニュアンスをくみ取った個性的な語釈で語の本質に迫る「考える辞書」。
 三省堂国語辞典【第八版】「要するに何なのか」を追求した究極に簡潔な語釈と、言葉の現代的な用法(「ら抜き言葉」や「的を得る」など)にも寛容な姿勢。新語や俗語に関しては他の追随を許さない。
 明鏡国語辞典【第三版】大修館書店:後発の強みを生かした上記3冊の「良いとこ取り」。具体的な言葉の使用法や誤りやすい語のまとめ、「恥ずかしくない大人の言葉遣い」をサポートする「品格」欄など、至れり尽くせりの実に親切な一冊。


 今後、クイズ形式でこれらの辞書を楽しみながら読み進めていきましょう。


 では明鏡国語辞典から問題です。

  つぎの①~③に当てはまる熟語をあとのア~ウの中から選びなさい。
 「大」
  次の語は「おお」と読む。 … ①
  次の語は「だい」と読む。 … ②
  次の語は「おお」と「だい」のどちらも読む。…③

  ア 大地震
  イ 大人数
  ウ 大事件

  解答は10行下









  ① イ   ② ウ   ③ ア でした。