· 

英進ライブラリー

 当教室では、高校入試に出た小説を中心に、「英進ライブラリー」として閲覧・貸し出し可能に

しています。

 

 そこに、最近二冊の新作が加わりました。

 

 通常、全国の公立高校入試問題の多くは、「小説」と「論説文」が1つずつふくまれています。

 

 その年ごとに、特に「小説」には文部科学省からの「推薦図書」でもあるのか、同一作品が複数の

都道府県で採用されるのが通例です(設問として引用される箇所は異なりますが)。

 

 たとえば昨年(令和4年度)の入試問題における複数採用は次の四作品です。

 

① 「ヨンケイ‼」 天沢夏月(あまさわなつき)著 ポプラ社 2021年刊

  採用:栃木・群馬・福井・岡山・長崎

 

② 「櫓太鼓(やぐらだいこ)がきこえる」 鈴村(すずむら)ふみ著 集英社文庫 2021年刊

  採用:東京都立西(独自問題)・兵庫・鳥取・広島・鹿児島

 

③ 「雪のなまえ」 村山由佳(むらやまゆか)著 徳間書店 2020年刊

  採用:東京・岐阜・熊本・大分

 

④ 「水野瀬高校放送部の四つの声」 青谷真未(あおやまみ)著 ハヤカワ文庫 2021年刊

  採用:神奈川・長野

 

 ベテラン作家の村山由佳氏(「天翔(あまか)ける」という小説はすでにライブラリーにあります)を

除くと、他は新人やライトノベル系の作家さんです(近年はそういう女性作家の作品が圧倒的に多く

採用されています)。

 

 このうち、今回ライブラリーに加わったのは②と④の二作品です。理由は・・・①と③は文庫本ではない

からです(残念)。②は大相撲を題材としているものの、主人公を力士ではなく「呼出(よびだし)」とした

ところが斬新な作品です。④は設立したばかりの放送同好会に集まる、それぞれに悩みを抱えた四人の

高校生を描いた青春小説です。

 

 

 また、ライブラリーには入試問題の他に、「読書好き」になるきっかけとしてぜひ読んでほしい小説も

置いてあります。

 

 イチオシは、30年も前の作品ながら、異世界転生ものの元祖としてアニメにもゲームにもなり、無数の

中二病患者(特に女子)を産み出した、小野不由美(おのふゆみ)の 「十二国記」 。

 

 夢中で読めること請け合いですが、はたして教育的かと言われるとちょっと無理(?)があります。

 

 まあ、「平凡な女子高生である主人公が、『お捜し申し上げました』とひざまずく金色の髪の青年とともに、

凶暴な妖魔と死闘を繰り広げつつ『もう一つの世界』へと旅立つ」なんていう話、入試に出たら出たで

面白いんですけどね。